上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[見出し]
(患者を生きる:707)
明日へ
空色の世界:5
拡大読書器で読めて前向に


[本文]
東京都町田市の勝又磊三さん(82)は03年暮れ、駿河台日本大学病院(千代田区)で診察を受けた。加齢黄斑変性症で、黄斑部分にできた新生血管の活動は止まったが、視野の真ん中に見えない部分ができてしまった。

ひげのそり残しが増え、髪の毛を切ってしまった。料理をはしで口に運ぶことはできるが、魚の骨を取るのが難しい。妻の子さんは食べやすいように切り身を買ってきたが、「形がないと、おいしくない」と不満を言った。近所の人に会っても顔がはっきりわからず、あいさつをせずに通り過ぎることもあった。外出も控えるようになった。

何よりつらかったのは、字が読めないことだった。拡大鏡を使ってみたが、長い文章は難しかった。図書館で文学全集や落語の録音図書を借りてきたが、物足りない。かつてラジオのアナウンサーをしていた勝又さんは、新聞を読んで世の中の動きを知るのが毎日の生活の一部だったし、一番の楽しみだった。

04年夏、眼科の藤田京子医師に訴えた。

「新聞が読みたいんです」

「ロービジョンケアをしてみましょう」

藤田さんは答えた。ロービジョンケアとは訓練や補助具を利用し、残された目の機能を最大限に活用することをさす。勝又さんのように視野中心に見えない部分(暗点)がある場合、そこを外して見やすい部分で見る「偏心視」を練習する。ただ、検査をすると、勝又さんは自然にその見方を身につけていた。

次に、様々な倍率の拡大鏡を使って新聞を読み、30字を何秒で読めるか測った。一番速くて効率がよかったのが、7倍だった。

その拡大鏡で新聞や本を読んだ。慣れると徐々に速く読めるようになり、励みになった。だが、長時間だと疲れるし、もっと読みたいと欲も出た。そんなとき、病院に置いてあった拡大読書器のチラシが目に入った。身体障害者手帳があると補助があると知り、藤田さんに診断書を書いてもらい、申請した。

拡大読書器を使って新聞や本を読み、字も書けるようになって、気持ちも前向きになった。まぶしさを避けるためにサングラスをかけ、毎日1万歩を目標に散歩をする。趣味で続けてきた月一度の川柳の会では、短冊に書く字が曲がったり端に寄ったりする。

「くよくよしても仕方がない。一つ一つ、やっていこう」

人と会うのが、楽しみだ。

(朴琴順)

朝日新聞7月12日付け紙面より


ランキングに参加しています。
同じ病で苦しむ人へ向けて情報提供をしていきたいと願いを込めたランキング参加です。
クリックのご協力お願いします。
ブログランキング
くつろぐ カテゴリー⇒障害
FC2ブログランキング
ブログランキング
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://merumiyu.blog7.fc2.com/tb.php/254-f87632fd
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。